池波正太郎 著 『鬼平犯科帳』について。

私はある程度の年齢を重ねるまで、時代劇や時代物があまり好きではありませんでした。それと言うのも、両親の実家へ行くと、祖父などが必ずといっていいほど時代劇を見ていたことと、幼いながらに古臭く感じて何が良いのか分からなかったのです。髪型にしても、あくまでその当時の印象をそのままで言ってしまうと、頭の半分がハゲていて(実際は剃っていたということを知らなかったため)、その上に髪の毛の塊をちょこんと乗せているのが「ダサ」かったのです。
そして、長ずるにつれて読書に親しむうちに、歴史小説は好んで読んでいるものの、 やはり時代物にはどうしても手を伸ばすことが出来ませんでした。アレルギーという表現が適切かは分かりませんが、幼少の好き嫌いというものはここまで影響するのかと自分でも呆れるばかりでした。
しかし、そこまで毛嫌いしていたにもかかわらず、数年前にふと何となく、一冊だけ試しに読んでみようと購入したのが『鬼平犯科帳』でした。少し前にアニメ化もしていましたが、読んでみると単に勧善懲悪というだけでなく推理物の要素もあり、また悪人にならざるをえない人間の心の機微をうまく描いていて、そして鬼平こと長谷川平蔵自身も若い頃はいわく付きの不良だったため、ただ悪者をやっつけるだけでなく、相手の身の上によっては程よく助けたりと、いつの間にか物語にすっかり引き込まれていました。
現在は全巻揃えてあり、また中村吉右衛門演ずる鬼平犯科帳のDVDまで持ってます。人というのはこうまで変わるんだなと、自身を省みて思いました。